遠方に旅行する際、便利な交通手段として利用される飛行機。飛行機を利用する際、基本的にペットは手荷物として預けなければいけませんが、その預けたペットが亡くなってしまうという事件が意外と多く発生しています。ここでは飛行機におけるペットトラブルの事例などを紹介します。
2018年、ユナイテッド航空の飛行機にフレンチ・ブルドッグの子犬が入ったケージを持ち込んだ乗客がいました。客室乗務員はそのケージを頭上のロッカーに収納するよう指示をしましたが、空港到着時にはその子犬が死亡していたという痛ましい事件がありました。客室乗務員はケージの中が空であると思って収納するよう指示したと主張しているようですが、乗客が「子犬が入っている」と伝えたのを見た乗客もいたことから、客室乗務員の怠慢であるという指摘も出ています。
アラスカ航空では貨物室に入れられていたゴールデン・レトリバーのミックス犬が死亡する事件が起きていました。犬はケージの側面を噛みサイドベントを外し、プラスチックに亀裂が入ったため逃げ出す途中に喉を切り、搬送中に息を引き取ったとのことです。他にも心疾患を抱える犬が輸送中に死亡した事例や、固定されていなかった荷物がケージに滑り込みケージが損傷、犬が負傷する事故なども報告されています。
出典:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c0a05df7950f417457c8c68306ddaa9e6cdf131f
羽田空港から大分に向かう航空機を利用した事例です。機材故障のため機体変更となり代替機への搭乗まで約1時間半もの待機になりました。犬用キャリーに入ったペットはJALのカートに乗せられ代替機まで移動していたものの、そのまま炎天下に20分以上も放置されていたとのことです。乗客は健康確認と給水をしたいと申し出ましたが「規則で出来ない」と回答され、大分空港に着いた時には舌を出して倒れた状態でした。その後病院に搬送したものの、熱中症で死亡する結果となりました。
出典:https://toyokeizai.net/articles/-/650870
海外の航空会社や国内の一部航空会社ではペットと同乗できるケースもありますが、他の乗客からさまざまな苦情が発生するようです。アレルギーを持つ隣の乗客から「移動して欲しい」と言われたり、においに敏感な乗客が「くさい」という苦情を申し出ることがあるとのことです。ほかにも猫が飛行機酔いで何度も吐いてしまい「くさい」という苦情が発生するほか、犬が鳴き続けてしまい「うるさい」と怒鳴られた事例などが報告されています。
出典:https://toyokeizai.net/articles/-/729479?page=3
民法195条は「家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から1箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。」と規定されており、動物の専有による権利の取得と呼ばれています。これは民法の物権という位置づけになっており、動物が法的に「モノ」として取り扱われているということになります。
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
器物損壊罪というワードは割と聞きなじみがあるかもしれませんが、実はこの法律、動物にも適用されることがあり「動物傷害罪」と呼ばれることもあります。これは動物を殺傷する行為に加え、他人が飼育するペットを逃がした場合や飼養する魚を池の外に流出させる行為なども傷害として認められることになります。
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kla/2019/0/2019_21/_pdf/-char/en
我が国日本では法的にモノとして取り扱われるペットですが、海外の法律では「動物はモノではない」という規定がされているところもあります。1988年のオーストリア民法285a条や1990年のドイツ民法90a条、2003年のスイス民法641a条1項では動物の財産的価値を超えた治療費の請求が認められるなど、ただのモノではなく大切な家族・ペットとしての取り扱いを受けることがあります。
出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kla/2019/0/2019_21/_pdf/-char/en
ペットを飼っている人からしますと自分のペットは大切な家族ですが、周りの人たちは苦手だったりアレルギー持ちだったりするかもしれません。うまく共存していくためには、極端にどちらかの意見によるのではなく、お互い譲り合った対応が必要でしょう。
「人も動物も豊かに暮らせる社会を実現する」を理念に、横浜市で事務所を構える弁護士事務所です。ゆっくり丁寧にヒアリングを行い、迅速に対応する「SLOW&QUICK」を実践。ペット法務では、ペット法務やビジネスに精通したスペシャリストが、高品質なサービスを提供しています。
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