「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」に登録されたペットに関する相談件数の推移を見ると、2020年は1,526件、2021年は1,603件、2022年は1,541件となっており、2021年までは増加傾向となっていたことがわかります。
そこでこちらの記事では、トリミングサロンにおけるトラブルや訴訟相談事例などについてまとめています。
飼育していたペルシャ猫のトリミングを依頼した先のサロンにて、トリミング中に毛玉を切ろうとして誤ってハサミで猫の尻尾を切断してしまった事例です。こちらの事例ではサロンがトリミングを行う場合には、飼い主に対してペットの安全に配慮して傷つけることがないよう注意義務を負うとされています。
こちらの事例では、飼い主ら四人に対する慰謝料として計10万円、また治療費・通院費としておよそ2万円といった損害賠償が認められたほか、トリマーの勤務先会社に対しても使用者責任が認められています。
債務不履行とは、契約によって約束されている義務を果たさないことを指します。
飼い主とトリミングサロンの間には「民法上の請負契約」が成立するため、トリミングサロンには「トリミングを完成させる義務」があります。さらにトリミングサロンには、ペットに対して怪我をさせないようトリミングを行う注意義務があると考えられます。
以上からトリミングが完成されていないと評価される場合や注意義務を怠った場合には、債務不履行責任を負い、再度の施術、慰謝料や治療費の支払いトリミング代金の返金といった義務が生じる可能性もあります。
契約不適合責任とは、売買や請負などの契約に基づいて引き渡された目的物について「目的物の種類」「目的物の数量」「目的物の品質」のいずれかについて契約内容との相違がある場合に売主が買主に対して負う責任のことを指しています。
サロン側で仕事を完成したと考える場合でも、サロン側が損害賠償責任を負う可能性もあります。このことから、あらかじめ飼い主の間で仕上がりについてヒアリングを十分に行っておくことが理想といえます。
民法709条では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。
上記でご紹介した事例のように、トリミング中に故意や過失によってペットを怪我させたなどの場合には、この不法行為によって生じた損害を賠償する必要があります。
トリミングサロンにおけるペットトラブルの事例と、サロンを経営する上で知っておきたい法律についてまとめてきました。もしトラブルが発生したりクレーマーが出てきた場合には、ペット専門の弁護士に相談するのがおすすめです。
「人も動物も豊かに暮らせる社会を実現する」を理念に、横浜市で事務所を構える弁護士事務所です。ゆっくり丁寧にヒアリングを行い、迅速に対応する「SLOW&QUICK」を実践。ペット法務では、ペット法務やビジネスに精通したスペシャリストが、高品質なサービスを提供しています。
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