2019年6月19日に「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が公布され、2020年6月1日から施行されています。
今回の改正では、出生後56日(8週)を経過しない犬や猫の販売等を制限している他、動物取扱責任者の要件の充実、マイクロチップの装着等の義務化、獣医師による虐待の通報の義務化などが盛り込まれています。
注目したいのは、動物愛護法の改正により、飼わなくなった犬や猫の引き取りを自治体が拒否できるようになった一方で、引き取り手がいない犬や猫が民間の愛護団体に大量に持ち込まれるようになったことです。キャパシティ以上に犬や猫を引き受けている動物愛護団体の中には、人手不足や資金不足が深刻化しているケースも少なくありません。
動物愛護団体「ピースワンコ・ジャパン」は、4ヘクタール超の敷地で、1,900匹の犬を保護しています。運営費は全国からの寄付で賄っていますが、光熱費や餌代などの経費が膨らみ赤字続き。それでも大西純子代表は「止めれば犬たちがどうなるか目に見えているため、何が何でも継続していかないといけない」と語っています。
※参照元:J CASTテレビウォッチ(https://www.j-cast.com/tv/2018/01/26319645.html)
動物福祉とは、人が管理する動物に配慮し、適切な環境を与えるという考え方のことです。ドイツやイギリスなど動物保護先進国ではすでに普及していますが、日本ではまだ馴染みがないという方も多いようです。
たとえば、イギリスには、ライセンスを持っていないペットショップは生体販売ができないという法律があります。ドイツでは、保護した動物の殺処分が禁止されており、どうしても行き場のない動物に関しては、民間の保護施設が引き取りや譲渡をおこない、譲渡率は9割を超えています。
一方で日本では、動物愛護法やペットフード安全法など法整備は行われていますが、引き取り手のない動物をいまだに殺処分しているのが現状です。以前に比べると大幅に減少はしたものの、それでも多くの動物が殺処分により命を失っているのです。
犬・猫の年間殺処分数は、2004年は約39万5千頭(犬155,870頭、猫238,929頭)でしたが、2020年度は合計約2,4万頭(犬4,059頭、猫19,705頭)でした。大幅に減少している原因は、マイクロチップの装着が義務化された上、相当な理由がなければ自治体は動物の引き取りを拒否できるようになったこと、動物保護団体による問題提起や積極的な譲渡会の開催などにあります。
しかし、その一方で、「飼い主が高齢になり飼育ができなくなった」「経済的な事情で飼えなくなった」「避妊去勢手術を行わなかったため増えすぎてしまった」など人間の身勝手な理由で捨てられる動物が、いまだ後を絶ちません。
※参照元:統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html)
法改正や民間団体の活動によって、犬・猫の殺処分頭数は年々減少しています。しかし、その一方で、自治体で殺処分されなかった犬や猫たちの多くが、動物愛護団体に引き取られています。引き取る犬や猫の頭数が飛躍的に増えた動物愛護団体では、人手不足や資金不足に悩まされ、中には飼育崩壊に陥っている団体もあるようです。
このため、飼い主への飼育環境づくりや意識の啓蒙、動物愛護団体に頼りすぎないよう譲渡会を行うなど、各所で対策が進められています。
動物愛護団体の人手不足や資金不足に由来するトラブル対応は、ペット専門弁護士に依頼するのがおすすめです。こちらのページでは、ペット業界のトラブル回避術について、ペット専門の弁護士さんに解説して頂いています。「トラブルを避け、事業拡大や安全運営に集中したい」という事業者の皆様は、ぜひ参考にしてみてください。
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