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動物病院でのトラブル・訴訟相談事例

ペットブームの影響もあり、一時期ペットの保育件数は増加していました。それに伴いペット関連の訴訟数も増えており、国民生活センターへの相談件数は2021年まで3年連続で増加していました。ここでは中でも動物病院で発生したクレームや訴訟・解決事例を紹介します。

参照元:ペット|独立行政法人 国民生活センター(https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/pet.html)

目次

動物病院で実際にあった訴訟・解決例

手術費用の返金と慰謝料の支払いを求められた事例

チワワの避妊手術から数日後、容態が急変して死亡してしまった事例です。
必ずしも病院側の過失とはいえませんでしたが、手術費用の返金と慰謝料の支払いを要求されました。
地域密着型の動物病院だったため風評被害を懸念し、早期解決のため弁護士法人なかま法律事務所に相談。
長年通院していた飼い主との協議の末、一定の解決金を支払うことでクレームが収束しました。また、SNSへの悪評の投稿や近隣住民への風評もしないことに合意され、解決となりました。

参照元:弁護士法人なかま法律事務所(https://nakama-pet.jp/#case

この方に聞きました
動物病院・ペットビジネス事業者の
相談に
特化した「ペット弁護士®」

昨今、いわゆる医療過誤に関する相談をいただくことが増えてきています。背景として、飼い主様の権利意識の高まりなど様々な事情があると考えられます。
病院側は、医療過誤を避けられるように最善を尽くしながらも、万が一予期しない事故が起きてしまった時を想定し、日ごろからどういった対応をするべきかを考え、備えておくことが重要です。
今回ご相談いただいた事例では風評被害を防ぎ、早期解決をするために和解を目指し、飼い主様の対立感情を和らげたことが円満解決に繋がっています。

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メディアアドバイザーペット弁護士® 中間隼人さん
メディアアドバイザー
弁護士法人なかま法律事務所
中間隼人さん

「ペットを殺された」と吹聴され謝罪を要求された事例

重度の腎不全状態で運び込まれた猫に治療を行ったものの、翌日に死亡してしまった事例です。来院時には重篤な状態であり治療に過失もなかったものの、医師あてに度重なる手紙の送付や他関係者などに「医院に殺された」と吹聴していましたが、医院の主張を内容証明で送付したところ連絡がなくなりクレームが収束しました。

参照元:獣医師のための法律相談|フラクタル法律事務所(https://animal-lawyer.jp/archives/200)

明確な要求のないクレーム事例

犬の手術を行う際に麻酔処置を行ったところ、手術開始前に死亡してしまった事例です。医師より考えられる可能性について説明を行ったもののオーナーの納得感が得られず、「ミスがあったとしか思えない」「責任を取って欲しい」の主張が繰り返されていました。弁護士が関与し改めて説明を行ったところ、オーナーは自身の主張を諦めクレームは収束しました。

参照元:獣医師のための法律事務所|浜松町アウルス法律事務所(https://www.juu-i.owls-law.com/2021/05/2035/)

動物病院で知っておくべき許認可・法律

仮処分手続

仮処分手続は民事保全手続きの一つであり、裁判の結果が出るまでの期間に暫定的な措置を行うための手続きです。特に金銭以外の権利を保全する目的で利用されるものであり、権利の譲渡や移転ができないようにすることが可能です。

損害賠償請求訴訟

損害賠償請求訴訟は、他人によって損害を与えられた場合に被害者がその損害を金銭的に評価した金額で請求するために行う訴訟です。これは経済的な損失だけではなく、精神的な損害に対する慰謝料も請求することができます。

債務不存在確認訴訟

債務不存在確認訴訟は、「債務が存在しないこと」を確認するための訴訟です。たとえばいわれのない請求を長期に亘って受けている場合など、該当する債務が存在しないことを裁判所に確認してもらうための訴訟です。

恐喝(刑法249条)

恐喝は「暴行や脅迫を用いて相手を畏怖させる行為」を指します。暴行・脅迫が「財物を交付させること」に向けられている場合、つまり財物を交付させるための手段として暴行や脅迫が行われた場合のみ恐喝罪の対象となります。

参照元:e-GOV法令検索|デジタル庁(https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045)

脅迫(刑法222条)

脅迫は相手に対して恐怖心を生じさせる目的において、相手またはその親族の生命・財産・身体・名誉・自由などに対して害悪を加える旨を告知する行為をいいます。口頭や電話・メールのほか態度や動作の場合にも対象となります。

参照元:e-GOV法令検索|デジタル庁(https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045)

強要(刑法223条)

強要は相手またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して外を加える旨を告知して「脅迫」し、または「暴行」をすることで人に義務のないことを行わせたり権利行使を妨害することを指します。

参照元:e-GOV法令検索|デジタル庁(https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045)

業務妨害(刑法233条・234条)

業務妨害は「偽計業務妨害罪」「威力業務妨害罪」「電子計算機損壊等業務妨害罪」の3つがあり、他人の業務を妨害する行為が罪に問われます。この「業務」は必ずしも仕事とは限らず、ビジネスでない活動も保護されます。

参照元:e-GOV法令検索|デジタル庁(https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045)

動物病院におけるクレーム対応の心得

安易な謝罪はしない

クレームに対して謝罪するということは、相手の主張を認めるということになります。そのためクレーム内容をしっかりと聞いたうえで病院側に原因があるのかどうかを見極めるようにしましょう。

また、謝るべき場面であっても「とりあえず謝る」ような誠意の見られない対応ではクレームが拡大する可能性もあります。そのため「謝るべき事態かどうか」をしっかりと理解したうえで必要な対応を取ることをおすすめします。

悪質クレーマーは顧客ではない

間違いなく病院側に原因があり正当な主張として受けるクレームは、真摯に対応することで大ごとにならない可能性が高いです。しかし悪質なクレーマーはクレームを契機に金銭を要求するなど不当な要求をしてきます。こういった場合には病院として「悪質クレーマーは顧客ではない」という毅然とした態度を示す必要があります。本業である動物たちの治療にリソースを充てられるよう、不当なクレーム対応は弁護士に任せるなどの対応を検討しましょう。

最初は反論せず聞く

正当・悪質のどちらであってもクレームを拡大させるのは「対応のまずさ」です。単純にクレーム対応をした担当者の態度が要因になる場合もありますが、多くのケースではクレーマーの主張に対して反論することで拡大することがあります。中にはクレームを全て伝えることで満足して収束することもありますので、まずは話を聞くことに徹しましょう。話をしっかりと聞いた上で不当なクレームであると判断される場合には反論や弁護士への相談など然るべき対応を取りましょう。

動物病院のクレーム対応マニュアル

マインドセットを変える

多くの事業所では「クレームを受ける→謝る」という対応がマニュアル化されているかと思いますが、大事なことはクレームの本質を理解して然るべき対応をとることです。まずはクレームに対する意識改革を行い、先に説明したような心得を身に付けられるよう指導・教育を行うようにしましょう。

従業員に丸投げしない

クレームは現場で発生するものですが、場合によっては上席が出ることで収まることがあります。全て従業員任せにすると担当者がただ疲弊していくだけですので、組織全体として対応できる体制を整えておきましょう。

クレームの記録をとる

クレームの対応はその場だけでなく長期化するケースがあります。そういった場合にはいつ何があって、誰がどのように対応したかを記録しておくことをおすすめします。後から言った・言わないの水掛け論になると必要以上に時間を取られることにも繋がりますので、記録を取って事後的に振り返るようにしておきましょう。

クレームの型を分類し、マニュアルにする

どんなクレームもある程度のパターン分けが可能です。クレームについて記録を取っていくとそれがノウハウとして組織内に蓄積されますので、「こういった場合にはこう対応する」というようなマニュアル整備を行うと、ある程度誰であっても対応できるようになるでしょう。

応対時の接客方法

クレームに対応する際に「使うべきフレーズ」「使ってはいけないフレーズ」などもマニュアル化しておくと便利です。対応のパターンやその伝え方など、お客様に対してどう対応するべきかを定めておくことで、いざという時に従業員がスムーズに対応できるでしょう。

弁護士の介入でクレーム収束も

今やペットは家族と考える方が多いため、トラブルに発展するとなかなか解決に至れないケースも多いでしょう。しかし弁護士が介入することで法的な観点からの第三者説明で納得・解決する場合もあるため、トラブルを抱えている方はぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

取材協力
弁護士法人なかま法律事務所
弁護士法人なかま法律事務所

「人も動物も豊かに暮らせる社会を実現する」を理念に、横浜市で事務所を構える弁護士事務所です。ゆっくり丁寧にヒアリングを行い、迅速に対応する「SLOW&QUICK」を実践。ペット法務では、ペット法務やビジネスに精通したスペシャリストが、高品質なサービスを提供しています。

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