誰もがインターネットにアクセスできる時代。特に動物病院は、ペットの健康不安を抱えセンシティブになっている飼い主さんも多く訪れるため、対応に不満を持った方から誹謗中傷のような口コミを書かれてしまうケースが少なくありません。
当メディアのアドバイザーも務めてくださっている、ペット弁護士®先生、中間さんが解決した実際の相談事例を基に、専門家はどのように解決したのか、また、トラブルや訴訟になる前にできたことなどをインタビューでうかがってきました。
なかま法律事務所は、動物病院・ペットビジネス事業者のペット法務に注力している数少ない弁護士事務所です。
代表弁護士である中間隼人さんは、(一社)ペットライフデザイン協会の代表理事(2023年4月から)や(一社)犬猫生活福祉財団設立及び評議員などをつとめる専門家。ペット業界の法務に関するアドバイザーを数多く務める他、法人・開業医向けのトラブル防止セミナーも定期的に開催しています。
「ろくに診療をしてくれなかったせいでペットが死んでしまった。謝罪もない。家族を失った…」といった内容の投稿を、Google mapに書き込まれてしまいました。実態に反する誹謗中傷だと思うので、削除してほしい
診療に当たった院長先生に詳しくお話をお伺いしたところ、実際は適切に診察・投薬を行っていたことが判明しました
はい。カルテなど動物病院様側でしっかり記載されていましたので、資料をもとにGoogleに削除依頼を行い、投稿者さんには無事削除してもらうことができました
そうですね。実際の所、反事実性がちゃんと説明できるような投稿でないとやはり難しい部分はあります。ただし、客観的な資料をもとに、投稿が事実に反していることを主張することで削除の可能性を高めることは可能です
このような誹謗中傷を予防するためには、普段から診療経過をできるだけ詳細にカルテに記載しておくことが大切です。
一方で、誹謗中傷的な口コミをされる原因は、診察以前のスタッフの対応にある場合が多いようです。
待ち時間の長さや、スタッフ・担当獣医師のぶっきらぼうな態度に腹を立て、あら探しをしている投稿も少なくありません。このため、獣医師・スタッフ一人一人が、日頃から誠実な対応を徹底することが、なによりの誹謗中傷予防策になるのではと思います。
インタビューを通して、WEB上に一度書き込みをされたら、なかなか消せない、消すための労力もかかりそうだなというのが率直な感想です。やはり、日頃の積み重ねでトラブル予防をしておく必要はあるなと。
ただ、どれぐらい詳細に予防する必要があるのかだったり、予防では対処しきれない「クレーマー」の申し立てだったりは、やはり専門家の知見が必要です。そばに、法律・専門的な視点で頼れる人がいたら安心ですよね。
中でも、「ペットに関するトラブル」や「ペット業界ならではの法律」に精通した「ペット弁護士®」なら、投稿者への対応や従業員教育等など、三方の気持ちを考慮した上で、適切な解決法やトラブル回避法を提案してくれるでしょう。
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いかがでしたでしょうか?
これは、動物病院の数ある誹謗中傷のトラブル・訴訟の一例にすぎません。
閉院など、被害が大きくなる前に対策できるように、一番のおすすめは顧問弁護士をみつけることではありますが、次に動物病院の皆様ご自身でできること、対処法、どういう場合に弁護士でないと対応できないのかなどをまとめてみましたので、併せて参考にしてみてください。
誹謗中傷の書き込みをする人の中には、病院側の対応に満足できない・納得できないという人が多いようです。
動物病院で大切なのは、犬や猫など動物の命を守ることですが、技術や設備ばかり高めても、お客さまへの対応スキルが低ければ、誹謗中傷を受ける可能性が高まるでしょう。
このため、病院スタッフの採用と教育はしっかりと行う必要があります。
また、誹謗中傷の書き込みがされた場合も、「不快な思いをさせて申し訳ありません」と謝罪したり、「今後の改善に活かしていきます」など返信したりすることで、書き込みの再発を抑えることに繋がります。
まず行いたいのが、サイト内に設置されている問い合わせフォームなどから削除依頼をすることです。ただし、どの記事・投稿を削除してほしいのか、その投稿によってどんな権利が侵害されているのかなどをサイト管理者にわかりやすく伝えることができなければ、削除に応じてもらえない可能性があるので注意しましょう。
また、サイトによっては、削除依頼を無視するだけでなく、削除依頼の内容を公開してさらなる炎上を引き起こすケースもあるので、そのサイトが過去にどんな対応をしたか、事前に見極める必要があります。
また、テレコムサービス協会が作成・公表しているプロバイダ責任制限法関係のガイドラインに従って、送信防止措置依頼をする方法もあります。
まずは、「権利侵害の通知書兼送信防止措置依頼書」を作成し、サイト管理者やプロバイダに郵送します。
サイト管理者が、依頼主や書き込みをした発信者に対して照会などを行い、照会期間内に反論がなければ書き込みが削除されます。発信者から反論があった場合でも、サイト管理者等の判断によっては削除される可能性があります。
サイト側が削除に応じてくれない場合は、裁判を通じて削除依頼の仮処分の申立をします。申立書を作成し、裁判官が判断するための証拠とともに、管轄がある裁判所に提出しましょう。
裁判で権利侵害の被害が認められれば、裁判所からサイト運営会社へ削除命令が発令され、書き込みが削除されるのが一般的です。
ただし、申立は法律の専門知識がないと難しいため、基本的には、弁護士へ依頼して対応してもらうのが良いでしょう。
注意したいのは、弁護士法上、書き込みをした人に削除の交渉を行えるのは弁護士だけだということ。弁護士でない第三者が代わりに交渉等を行った場合、「非弁行為」といって違法となってしまいます。
削除依頼する場合は、自分自身で行うか、弁護士に依頼するか、どちらか2つの方法しかありません。このため、そもそも弁護士がいないサイト運営会社では、書き込みの削除はできないと考えた方が良いでしょう。
口コミは、本音であれば何を書いてもいいわけではありません。あまりに酷い誹謗中傷なら、投稿者を特定した上で、裁判を通じて賠償金請求や警察へ告訴をすることも可能です。
民事訴訟をした場合、誹謗中傷で請求できる慰謝料の相場は10万円〜100万円。警察へ告訴をした場合、投稿者には名誉毀損罪で3年以下の懲役または50万円以下の罰金か、信用毀損及び業務妨害として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
名誉毀損とは、多くの人の目に触れる場所で、事実を指摘する形で誹謗中傷をすることです。
例えば、「飼い猫の体調が悪そうだから病院へ連れて行ったのに、ろくな検査もせず、薬を出されるだけで終わった。薬を飲ませても効果が感じられず、誤診をされた可能性が高い。小さな個人医院ではなく、大きな総合病院へ行けばよかった」といった書き込みや、「この病院の代表医師は過去に医療ミスを犯しています。とても安心して命を任せられる場所ではないので、別の病院での治療がおすすめです」といった書き込みは、名誉毀損に該当します。
主に匿名掲示板で悪評の削除依頼をする場合は、タイムスタンプ等がサーバーに保存されている期間内に行わなくてはならず、遅くとも半年以内であることが目安なのだとか。
誹謗中傷の口コミや悪評が広まってしまうと、全てなかったことにするのは非常に困難です。根も葉もない口コミでも、それが真実として拡散されてしまえば、やがて集客や採用などに大きな影響を与え、病院経営に深刻な被害を被ってしまいます。
このため、できるだけ影響が小さいうちに、誹謗中傷を削除することが大切です。
書き込みの削除依頼など、専門知識が必要な手続きもあるため、業界に精通したペット弁護士に相談してみるのがおすすめです。
「人も動物も豊かに暮らせる社会を実現する」を理念に、横浜市で事務所を構える弁護士事務所です。ゆっくり丁寧にヒアリングを行い、迅速に対応する「SLOW&QUICK」を実践。ペット法務では、ペット法務やビジネスに精通したスペシャリストが、高品質なサービスを提供しています。
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